東北の渓のザッコ釣り 6 やっぱり落ち着く いつものテン場 |
2005年のSさん、Uさんとの「岩手くんせい紀行」は、これまでとパターンが違った。 去年までは、1日目の早朝に出発して、その日は買出しと寄り道をして区界旅館泊。2日目の早朝、旅館から渓に向かい、テントで2泊して4日目の朝にテントを撤収して東京へというパターンだった。 ところが、ぼくが4日目の午前中に秋田(阿仁)で会議(秋田内陸線再生支援協議会)に出席することになったため、急きょ、1日目と2日目をテント泊まり、3日目を区界旅館にして早朝ぼくは秋田へ、という日程になったのだ。 テン場の選択 去年のテン場は、それまでと別の沢だった。 数年前からいつも使っていたテン場のある沢の奥で伐採作業が行われていたため、別の沢のテン場(「年に一度のくんせい紀行」参照)にした。ここもそれなりによかったのだが、周りの竹やぶを切り開いてトイレを作ったり、沢の水まで階段を作ったりしなければならず、釣りと設営の時間が限られる1日目にこの作業をするのはきつい。いつものテン場なら、設営は実に楽なのだ。そこで、できればいつもの場所のほうがよいので、様子を見に行くことにした。 行ってみると、もう伐採はとっくに終わっていて、テン場も、一昨年Sさんが作ったカマドまでそのまま残っている。これはありがたい。ぼくたちはすぐに設営にとりかかった。 ここが調理・宴会場になる。ブルーシートを張って屋根にする。岩手の釣りで雨に遭わなかったことがないぼくたちである。 しっかりビールを冷やすのである。 2年分の釣果 テントと宴会場の設営を終えて、ぼくたちはあわただしく竿を持って流れに入った。今晩のおかずを確保しなければならないのだ。そして、いつものとおり、イワナはたくさん釣れた。去年はこの沢に入っていないので、魚は増えて大きくなっているようだ。まったくありがたいことである。 27cmのイワナ。このくらいになると、竿を両手で支えて魚の引きに耐える。 晩餐の新メニュー 東北道を北上するジムニーの中でSさんが言った。 「今日の晩は、イワナの刺身かなぁ?」 「刺身は作るのが大変なんだよ。」 料理長のUさんは顔をしかめた。 「じゃあ、『なめろう』なんてどう? ネギと味噌をまぜてたたくんだよ」とSさん。 「わあっ、おいしそうだね」と、自分は作るつもりのないぼく。 「オレが作るから、やってみようよ」というSさんの意気込みに、Uさんも「それなら……」と了解した。 1日目の、2時間ほどの釣りの間に、25cm以上のイワナが3人それぞれ釣れたので、「なめろう」の材料は心配いらなくなった。 釣りから戻ると、ぼくとSさんは薪とり。Uさんは食事の支度、と思っていたら、とんでもないミスをしてしまった。薪は少し離れた土場のあとに放置されているカラマツを調達するのだが、ぼくとSさんが乗って出かけたジムニーに、食材が積まれたままだったのだ。1時間近くの間、Uさんはなすすべがなかった。 それでもUさんはめげなかった。カマドの火を起こすSさん、くんせい用の竹串を作るぼくの作業の間にてきぱきと食材を準備しながら宣言した。 「なめろうは、ぼくが作ります。」 料理長の腕にかかったなめろうは、実においしかった。来年も定番料理として定着することがすでに決まっているのである。 大きなイワナでUさんが作った「なめろう」。みそ味のタタキである。絶品! 上に見えているのは、これも新メニューの「さつまあげチャンプルー」である。 カマドの火でイワナをあぶりながら、棚を準備するSさん。棚の上にイワナを移して、本格的なくんせいにするのだ。 棚が完成した状態。上にイワナをのせて、新聞紙をかぶせて燻す。 もうひとつのカマドでは焼肉。 動物迷惑、夜更けの歌声 2日目。この日はくんせい用のイワナを確保することが主目的である。だから、3人ともがんばって釣ったのである。そして、イワナはたくさん釣れたのである。ぼくが一人で入った沢は、「天国」が分散して出現したため、ついつい奥まで入り込み、帰り道が実に長くなってしまった。 二次林だが、山が穏やかなのでイワナが多かった、2日目の沢。 まだ明るいうちから始まった晩餐は、ぼくの揚げる天ぷらがメインディッシュ。Uさんが採ってきたウドとタラノメ、そして玉ねぎを揚げてから、いよいよイワナ。これが絶品なのだ。ビールの酔いが回り、歌が始まった。Sさんは焚き火の上のくんせいのでき具合を確かめながら、Uさんは明日の朝食のことを考えながら、そしてぼくは、山の動物たちの迷惑も考えずに、真っ暗な森に叫び声を上げていた。 このとき何を歌っていたのだか覚えていないぼく。見ての通り、今年も夜は寒かったのです。 夜明けの焚き火で「おじや」を作る。 この立地のよさ! まったくオートキャンプ状態なのです。やっぱり落ち着く、いつものテン場でした。 きれいに撤収。カマドと薪は置いておきます。 明るい沢で3日目の釣り。ここでもイワナがたくさん出ました。 今年は3日目の宿となった区界旅館。最後の夜にここに泊まったほうが疲れが取れることを知ったため、来年もこのパターンの旅になる予定。今年の旅は7月23日(土)〜7月26日(火)でした。 |
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