田んぼの水路でフナを釣る 7

      田んぼと里山の春

 今年も、田んぼに水が入る季節がやってきた。
 4月の半ばに代かきや田植えが始まるのは、日本水郷の早場米地帯。もちろん、ぼくのフィールドである。
 4月16日(土)、締め切りの迫った原稿が夕方に書き上がった。日曜日の天気予報は、晴れ。そこで、今年初めてのフナ釣りに出かけることにした。

 谷戸田の春
 北総台地の入り組んだ谷戸の田んぼにも、すでに水が入り始めていた。木々の芽吹きに包まれて、カエルの鳴き声が聞こえてくる。ソメイヨシノはほとんど葉桜に近いが、里山のヤマザクラはちょうど満開。すてきな春の風景が展開していた。
   



 だが、ぼくは釣りに来たのである。最初は佐原市街の南にあたる小野川の支流、香西川へ。右側に写っている水路は、フナの実績十分の場所なのだが、まだ水が少なく、フナは1尾だけ。川の方では、ヤマベとウグイ、それにタモロコ。それでも、天気がいいので満足。
 
 
  もう、となりの田んぼでは田植えをしていた。左の女性の笠が印象的。

 
 フナはこの1尾だけ。今日はリリースした。

 香西川を切り上げて、利根川北岸の水路に移動。でも、まだ水は少なく、フナは入ってきていない。
 それにしても、用水路のフナはどこから来るのだろうか。いや、本流や霞ヶ浦から入ってくるのだろうが、そのメカニズムをだれか研究していないのか? クマの研究者は「クマ好き」だし、イワナの研究者は渓流釣りが好き。そうなると、フナ釣りの好きな理科系の若者なんて、いるのかな? 
 去年の秋にカネヒラ(ではなく、中国からきたオオタナゴと判明)とエビが大漁だった水路は、水がたくさん。仕掛けを入れると、やっぱりカネヒラ。もう味はわかっているので、網でエビを獲ることにした。
 エビも獲れるが、小さいカネヒラ、そして下の写真のタナゴ(種類がわからない)、さらにブルーギルの子どもまで獲れた。エビはキープ、タナゴ類はリリース、ブルーギルは岸の草の肥料に。
 
 利根川の北岸の水路でエビを網で獲っていたら、タナゴが獲れた。これはリリース。

 
 エビを確保できたので、水郷地帯核心部の水路へ。水は田んぼにも水路にも入っているが、水路の水はまだ少ない。フナを釣る人がいたが、「となりのホソでは5つ6つ出たんだけど、ここはダメだね。」
 釣り人の言葉に感激。 「ホソ」という言葉が、フナ釣りの世界では生きているのだ。
 

 大須賀川に沿った里の道で。

 そろそろお昼。だが、食堂に入っている時間がもったいないので、スーパーで焼きたてパンを買って、かじりながら里の道をジムニーで散歩。すてきな風景を満喫した。
 あちこちにヤマザクラが自己主張している。ただ、ぼくは何種類もの自生のサクラを見分けることができないので、茶色い若葉といっしょに花をつけているサクラを「ヤマザクラ」と勝手に総称しているのだが。
 東北地方のヤマザクラよりも、ピンクが薄いのだが、春の里山にはよく似合っている。
過ぎる午後の時間が恨めしく思えた春の日だった。
 
 里山のヤマザクラは今が見ごろ。ああ、日本の春。


 このような景色がいたるところにある、北総の春です。
 
  
     田んぼのディーゼルカーです。


 もしかしたら、このジムニーといっしょの、最後の春です。

 
 エビはおいしいかき揚げに。
 
 
 川魚の天ぷら。手前左がウグイ、右がヤマベ(オイカワ)。一番おいしかったのは、ウグイでした。ホクホクで、幸せ。

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