田んぼの水路でフナを釣る 5

    極細水路の極楽


 上の写真の水路は、ぼくが大好きな場所の一つ。赤と白の二つの玉ウキの大きさでお分かりと思うが、幅は1mに満たない。深さは、近くの排水機場のポンプと連動するが、60cm前後のことが多い。そして、フナの宝庫である。
 ぼくの、様々な場所での探索の結果、ミミズでマブナを釣るのに一番効率がいいのが、このサイズの水路だと判明している。ここはコンクリートの水路なのだが、岸からの草が魚に隠れ家を提供していて、深さもある。そして釣れるのはほとんどがフナである。
 ほんとうは、コンクリートの水路よりも、土を掘っただけの「素掘り」の水路で釣りたいのだが、今残っている素掘りの水路の多くは水深が浅く、釣りに適さないことが多い。だから、ぼくの釣り場は、実はコンクリートの水路がほとんどなのである。
 
 かわいいフナ。ここはギンブナ型が多いのだが、これはキンブナ型の体型をしていた。現住所はやしろ池である。

 この水路で他の釣り人に会うことは、めったにない。しかし、春や秋の休日に、どこかの釣り団体がこの水路の周辺で大会を開いていることがある。今年も、視界の範囲内で20人ほどが釣っている場面に出くわした。でも、今はリリースして帰る釣り人が多いので、別の日に行けばちゃんとたくさんのフナを釣ることができる。
 この水路での釣りの敵は、むしろ排水機場のポンプによる水位変動である。水位が下がり、深さが30cmくらいに下がってしまうと、釣果は期待できない。そんなときは、さっさと場所替えをするしかない。
    
      この日、フナは入れ食い状態。1時間ちょっとで切り上げた。
 2004年11月14日、カネヒラ釣りとエビ獲りを楽しんだあと、この水路の様子を見にきたら、もう、入れ食い。ブクバケツが満員になってしまい、短時間で切り上げた。同行のUさんは、仕掛けがダメになったので、タモ網に転向。網でもフナが獲れてしまった。
                  

 Uさんの網で獲れたフナ。
 
 翌週の週末は、ぼくが所属する国鉄写真連盟の合宿撮影会。宿泊は茨城交通湊線の阿字ヶ浦駅近くの、「阿字ヶ浦クラブ」という、海水浴と臨海学校と研修会向きの旅館。夕方に集合とのことなので、ぼくはフナ釣りを楽しんでから合流することにした。
 1週間前にUさんと入れ食いを味わった水路に行ったら、水が減っていて、釣れたのは2尾だけ。すぐにあきらめて、転進した。
 
 ここは、水郷の核心部。ここもコンクリート水路で、道の下をくぐる管の付近が少し深くなっているので、秋に魚が集まる場所だ。思ったとおり、この日もしっかりフナが釣れた。実に幸せな気分。
 もう午後になったので、阿字ヶ浦に向かって、北浦沿いの道を走っていたら、北浦の湖岸堤に、釣り人の車。堤の田んぼ側の水路に、釣り人がいる。湖岸堤の道に車を停めると、竿さばきはタナゴ釣り。そっと近づいて声を掛けた。「あきない程度に釣れてます」という若い釣り人のバケツの中には、20尾ほどの小さな魚が入っている。「アカヒレタビラとタイリクバラタナゴです」と言う彼は、きっと水槽で飼うのだろう。フナもたまにかかるとのことなので、今度はタナゴ兼用で来てみたいと思った。
 
 極細の竿に極細の仕掛けの、正しいタナゴ釣り。こういう若者を見ると、うれしくなってしまう。(2004.11.20)
 
       北浦は、霞ヶ浦の東にある、細長い湖。でも、やはり湖面は広い。
   
  翌日は鉄道写真の撮影に。北浦鉄橋を渡る鹿島線の電車。

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