きょうのメインはウミタナゴ |
![]() ウミタナゴ 15cm。 ちょっと見にはタイの子ども。 12月30日、ぼくとUさんが三浦三崎・二町谷(ふたまちや)の突堤に着いたときには、あたりはまだ暗かった。白み始めた空の下で、ビニールバケツに海水を汲み、コマセ(撒きえさ)のアミ(エビの赤ちゃんのような甲殻類。佃煮になる。)のブロックを入れる。まだ凍っている表面をヒシャクで削って、目の前の海面に撒く。そして仕掛けを用意する。 まだ海の中は暗くて何も見えない。エサ用のアミ(コマセ用よりも大きい)をハリに刺すのだが、これもまだ凍っているので、指でそっとはさんで解かしてから刺す。ウキ下を1.5mほどにして仕掛けをふり込む。 それにしても寒い。風はほとんどないのだが、八王子よりもずっと暖かい三崎でも、氷点下まで下がっているのだろうか。 コマセを削って、海水といっしょに撒く。玉ウキの、水面にある赤とその下の白を見ながら、温かい缶コーヒーを両手で抱えて飲む。 ゆらゆら揺れている玉ウキが、スッと沈んだ。あわてて右手をコーヒーから離して、竿を上げたが、空振り。エサはない。「よしっ」と少し気合いを入れて、えさをつけてもう一度。また玉ウキが沈む。今度は、少し待ってからアワセると、グッと手ごたえ。ゆっくり上げると、「あれれ、タイの子か?」と声が出たが、手にとって見ると、12cmほどのウミタナゴだった。 ![]() 夜明けの二町谷の入江。海外と同じように、スロープと岸壁がある。 ウミタナゴは、体型が淡水魚のタナゴに似ている。そして、フナとタナゴがちょっと似ているように、ウミタナゴはタイの子と似ている。海辺の人たちは、単に「タナゴ」と呼んでいる。 ウミタナゴは、おだやかな磯や岸壁で釣れる海の魚で、三浦半島の海にはたくさんいる。 身がやわらかいので、焼き魚には向かないが、煮魚としては地元の魚屋でも売られている「ブランド魚」である。卵胎生で、春に稚魚を産むので、その時期には、釣れたウミタナゴの腹を割くと、子が中から出てくるとのこと。ぼくはこの時期にまだ釣ったことがないので、実際に見たことはない。 ぼくとUさんで数尾のタナゴを釣り、さあ、これからだと気合いを入れたら、次に釣れたのは、何と、チャガラ。これは磯の中層をボーッと群れているハゼ科の小さな魚で、「赤茶色で柄つき」だから「チャガラ」。エサをつついてゆっくりウキを沈め、フニャフニャという軽い手ごたえとともに上がってくる。食べてもあまりおいしくないので、最近はリリースしている。他の魚の食いが悪くなったときにこれが寄ってくると、もうお手上げである。 ちょうど満潮の潮どまりになったようで、次々にチャガラが釣れる。そしてさらに、吹き始めた北風が、ぼくたちに追い討ちをかけた。寒い北風を正面に受けて、釣れるのがチャガラではガマンの甲斐がない。そこでぼくたちは、海外(かいと)に移動することにした。 ![]() 二町谷の入江の奥からの風景。ぼくたちが釣っていたのは左の突堤。沖に新しい埋立地ができたので、風景がちょっとつまらなくなってしまった。 二町谷から海外まで、歩いて5分。いつもの岸壁で釣り始めると、ここでも最初にタナゴが釣れた。そしてメバル。 ![]() 都市部の魚屋でふつう売っているメバルは、沖合いにすむ赤っぽいオキメバルなどだが、磯で釣れるのはクロメバル。黒褐色に金色をコーティングしたような姿で、煮魚としての味もタナゴより上の一級品である。 ![]() この日一番のウミタナゴ。おいしそうです。 ここでもタナゴが一番多かった。9時過ぎてアタリがなくなってきたころ、Uさんが、「前にキュウセンがたくさん釣れた場所へ行こうよ。」と言う。その場所はここから車で20分ほど戻った長井の小磯だ。そこは大型のキュウセンが入れ食いだったのである。 しかし、その場所では、まったくアタリがなかった。磯伝いに移動して、市場の近くの岸壁から海をのぞくと、ここにもタナゴ。だが、潮が澄んでいるので、エサを食いに来るだろうか。 ![]() ウミタナゴの入れ食いは、初めて。長井の岸壁で。 ![]() 釣り上げられたタナゴの周りに、たくさんの魚影が見える。 しかし、それは杞憂だった。エサを落とすと、すぐにタナゴが寄ってきて、すぐにウキが動くのだ。もう、入れ食いである。この日の夜はUさん宅で魚料理の宴会なのだが、「もう、食べきれないよ」とUさんが悲鳴を上げた。 ここのタナゴは、二町谷や海外のタナゴと、スタイルが少し違う感じがした。タイよりもヘラブナに似ているのだ。 その理由は、夕刻、Uさんが魚のウロコを落としているときに判明した。 「ずいぶんやせているのが混じっているぞ。」 ぼくがはらわたを取るとき、それははっきりとわかった。半数ほどのタナゴが、やせていて、はらわたも少ししか入っていないのだ。ヘラブナに似ていたのは、やせていたからなのだ。入れ食いだったのは、みんな腹をすかせていたからなのだ。 やせたタナゴは、煮付けにしても身が少ないので、から揚げにすることにした。それにしても、長井のタナゴはなぜ腹をすかせていたのだろうか。いまもって謎である。 ![]() タナゴ、タナゴ、タナゴ。 ![]() きょうの煮魚。一番手前がメバル、その右上がメジナ、メバルの左上がササノハベラ2尾、あとはウミタナゴ。 ホームページのトップにもどる 「三浦三崎の仲間たち」のトップにもどる 「小さくてもアジ」に渡る |