田んぼの水路でフナを釣る 10 |
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恋瀬川と高浜入の夜明け。ぼくの大好きなひととき。 ぼくのフナ釣りの主要なフィールドは、埼玉県の荒川、利根川流域と、千葉・茨城県にまたがる日本水郷である。 特に、水郷に出かけるときには、ぼくにはもう一つの目的がある。それは、釣り場の近くを走る列車の写真を撮ることだ。 4月30日、八王子を午前3時半に「はつかり号」で出発、首都高から常磐道に入り、石岡で下りて、まずは高浜へ。霞ヶ浦の西北の端にある「高浜入(いり)」は、かつて干拓計画が持ち上がったものの、反対運動で阻止した入り江。常磐線が湖に注ぐ恋瀬川を渡っている。そこで数年前に、ぼくは電車の写真を撮り、フナをいくつか釣った。久しぶりの「縄張りめぐり」である。 まだ出たばかりの太陽が、水面をオレンジ色に照らしている。ヨシの水辺は波もなく、おだやかだ。 常磐線の普通電車、415系の白の中に、ステンレス車が挟まっていた。415系は来年にも引退が予想されている。また、ぼくの好きな車両が消えていく。 電車を待つ間に水路に糸をたれたが、釣れたのはタモロコ。すぐにハリを飲んでしまうこまった魚だ。リリースできず、ザリガニのエサになってもらう。ごめんなさい。 そのうちに、すぐ近くで巨大な波が。大きなコイが入っているようだ。これは退散である。 鹿島鉄道は霞ヶ浦の北岸を走る。「はつかり号」にもだいぶ慣れてきた。 2006.4.30 小川高校下―桃浦 霞ヶ浦の北岸には、私鉄の鹿島鉄道が走っている。すでに2007年(来年)春に営業を廃止するという届けが会社から出されていて、茨城県など地元自治体の態度が注目されているのだが、会社が廃止を決断した直接の要因は、つくば市と都心・秋葉原を結ぶ「つくばエキスプレス」の開業によって、関東鉄道(鹿島鉄道の親会社)の高速バスの乗客が減り、鹿島鉄道への財政支援ができなくなったためとのこと。何ということか。 高校生たちの思いが伝わってくる。 小川高校下駅 茨城県では、すでに日立電鉄が、会社と日立市(どちらも日立製作所関連)の方針もあって、2005年に廃止されている。この鹿島鉄道はどう動くのだろうか。日立電鉄の廃止問題では、地元の高校生の生徒会同士の連携した存続運動が起きて注目された。鹿島鉄道にも沿線に高校がいくつもある。何とかがんばってもらいたいのである。 田んぼに水が入ると、日本は「水の国」になる。 小川高校下―桃浦 鹿島鉄道をあとに、霞ヶ浦の東岸を南へ走る。潮来の入口で右折、常陸利根川を渡り、左に入って十二橋(じゅうにきょう)へ。 水郷の名所のひとつ、十二橋は、集落の中を水路が走り、橋の下を観光船がゆっくりと通り抜ける。ここに鉄道が敷かれたのは1970年。高架橋の上を横須賀色の113系が走る。 写真を撮った場所から少し離れた水路で、この日最初のフナが釣れた。 水郷の民家の特徴は、切妻のない「寄せ棟作り」。茅葺屋根の基本形が、新築の瓦屋根の家にも残っている。家の向こうに十二橋の駅がある。
千葉の電車は横須賀色の113系。これも引退が近い。 2006.4.30 成田線 滑河―下総神崎
少し移動した場所では、この日最大の、20cm以上のフナ。そのまま引っ張り上げると糸が切れそうだったので、車に積んでいるタモ網を使って取り込んだ。車のすぐ横だったのでよかった。写真を撮ってリリース。今度からフナ釣りにもメジャーを持って来ようと決意した。 ここはちょうど成田空港の進入路に当たり、時計で計ったら、1分半に1機が頭上を通る。山手線よりも間隔が短いので驚いた。
ごちそうさまでした。 「雨が降る前に」に泳ぐ 「田んぼの水路でフナを釣る」のトップにもどる ホームページのトップにもどる |