三浦三崎の仲間たち 4

 小サバも大きくなりました
    
     朝の海外の入り江。この場所がぼくのお気に入り。
 夜明けの海外の岸壁で
 9月初めの日曜日、秋、と言うより夏の終わりの三崎に出かけた。
 この日は、夜明けの最初から海外(かいと)へ。前回登場した「彼」との接触を避けたのはもちろんだが、夜明けから海外で回遊魚を探索しようとする意図もあった。
 海外には車を安心して置けるスペースがないので、となりの二町谷に置いて、道を5分ほど歩く。明るくなりかけた海外の、いつもの岸壁の角に荷物を置き、さっそく支度である。
 アミコマセを撒き、エサのアミをつけて第一投。ウキがゆっくり沈み、上がってきたのはまたあのトウゴロウイワシである。がっかりはしたが、前回のこともあるので、気を取り直して第二投。
 しかし、アタリがない。しばらくない。満潮で潮が動いていないのかもしれない。まあ、あの彼は現れないはずなので、ゆっくり潮時を待つことにした。
 しだいに明るさが増してきた。海外の入り江の船揚場では、何人かの漁師が舟を出す支度をしている。一人か二人が乗る、小さな小さな漁船だ。子どものころ、ここから相模湾を西へ行った佐島の浜で、親戚の家の櫓こぎの舟に乗って釣りに出たことを思い出した。
 ぼんやり見ていた2個の玉ウキが横に持っていかれた。「オッ」とつぶやいてアワセると、竿先がギュンと持っていかれる。両手で支えてこらえていたが、バラしてしまった。ハリは無事だったが、相手の正体はわからない。逃がした魚が大きいことだけは事実である。

 目がウルウルの感激
 さらにコマセを撒いていると、静かな海面にモヤッといくつもの輪ができ始めた。回遊魚が海面まで来てコマセを食べているのだ。だが、さっきのトウゴロウのことがあるので、期待を控えめにして仕掛けを振り込んだ。
 ウキを持っていってもハリがかりしないということが何度かあったあと、やっと手応えがきた。大きさはさっきのトウゴロウくらいである。海面から出た魚体もトウゴロウほどである。やれやれ、と手にとって見て、驚いた。これはトウゴロウではない。ウルメイワシなのである。

 14cmのウルメイワシ。ウロコがはがれると、背中は緑色を帯びる。
 ウルメイワシは、マイワシ、カタクチイワシと並ぶイワシ類の三大魚種である。市場への出回りは少ないが、固めの丸干しが結構な値段で売られている、なかなかの魚なのである。三崎ではこれまでも釣れたことがある、おなじみの魚なのである。「ウルメイワシ」の名前の由来は、目が潤んだように見えることだが、ぼくにとっても、ウルメイワシは感激ウルウルの魚なのである。
 
 目も大きくなった、サバ
クーラーボックスのウルメイワシの数が増えてきたころ、横に持っていくアタリにアワセたら、格段に強い引きがやってきた。さっきバラしたときと同じ引きである。慎重に引きをこらえてゆっくり寄せると、銀色の魚体。竿のしなりを使ってヨイショと上げると、背中に緑の縞模様。18cmに育ったサバだった。5月に比べると、3倍の大きさである。
 しかし、サバは後が続かなかった。コマセに走ってくるのは何度も見えたのだが、ハリのついたエサをくわえてくれない。結局サバはこの1尾だけだった。体だけでなく、目も大きくなっているということか。
 この日も午前9時前に納竿。ウルメは丸干しと天ぷら、サバも、あとで釣ったキスといっしょに天ぷらにした。
  
                引きアジ十分のサバ。5月の写真と比べてください。

 こんな魚も釣れました
 
 
 海外の捨石に居ついている小メジナ。きょうはリリース。
               
                  
                     クサフグ。もちろんリリース。


 これはクロダイの子。砂浜でのジャリメに食いついた。リリース。
      
          
          この日一番の大物、20cmのウミタナゴ。煮付けにしました。

 
 三崎最強の魚、キタマクラ。名前でわかる猛毒のフグ。歯が鋭くてハリスを切られたり、つかむとプヨプヨして気色悪かったりで、いいところなし。潮だまりに隔離しました。

            
 チチブかと思ったら、「三崎ハゼ」の仲間の婚姻色のオスみたい。どなたか名前を知っていたら教えてください。                

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